酸塩基平衡の評価について

血液ガス分析を取ってから瞬時に見て評価する項目は、ルーチンでは

・pH (アシデミア?orアルカレミア?)

・pO2 & pCO2 (酸素化 & 換気)

電解質異常 (Na, K, Cl)

・Lactate(乳酸値上昇 or not)

・AaDO2(AaDO2=150-(PaO2+PaCO2/0.8))

 

次に、さらに吟味をして鑑別診断のヒントを探る。CPA(cardio pulmonary arrest:心肺停止)からROSC(Return of spontaneous circulation:心拍再開)するまでの間に可能な限り原因検索をするためにも、迅速な血ガスの評価は不可欠になる。上記の評価をした上で、次の手順で詳細な評価をする;

 

1. pH (アシデミア? or アルカレミア?)

2.  酸塩基平衡の状態 (pCO2 と HCO3- を見る→代謝性 or 呼吸性 の アシドーシス or アルカローシス) 

3. AG(アニオンギャップ)は?

→ΔAG/ΔHCO3- の評価  

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4.代償は十分? 

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5.pHとKの関係

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※TTKG ( trans tubular K gradient ) 皮質集合管でのアルドステロン作用の指標

 K排泄の直接的排泄(能動的分泌という)を検討するための指標。

Kが皮質集合管で分泌も再吸収もされず、尿浸透圧と血清浸透圧が等しいとした場合に、水の移動に対してKの移動が多いのかどうか評価できる。

TTKG=Kクリアランス/水クリアランス 

          =尿K濃度/血清K濃度 ÷ 尿浸透圧/血清浸透圧

          =尿K濃度/血清K濃度 × 血清浸透圧/尿浸透圧

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3~5は馴染みがなさすぎて腎臓内科専門医レベルの評価方法のようにも感じられるけど。血ガスも勉強してみると奥が深くて、こんなに診断の役に立つものだとは思わなかった。血ガス偉大。

 

参考図書:・酸塩基平衡 水・電解質が好きになる  今井 祐一/著  洋土社

 

                  ・輸液のコツとポイント  畑 啓昭/著 文光堂