現場に出て初めてわかる

コロナ疑いの患者をどのように振り分けて院内感染を防ぐかは、毎日のように議論が交わされているところである。まずは最近の外出、接触渡航歴などの生活歴と、症状についての問診票を患者に記入してもらい、そこで該当する項目があれば「コロナ疑い」として隔離室(”レッドゾーン”)での診察が始まる。例えばその問診票の中には、最近20人以上が密集する空間に滞在していたか、という質問がある。この質問に該当してしまう患者として、介護施設福祉施設(デイサービスなど)に通っている高齢者があげられる。今日の日直でそれに当てはまる高齢の患者が1名、レッドゾーンでの診察となってしまった。

 

大人数が住んでいる福祉施設を利用している高齢者は、かなりの頻度で時間外救急外来を受診してくる。全ての方をレッドゾーンで診察するということになると、あっという間にゾーンは埋まってしまい、本来隔離してすぐに検査を進めるべき患者が入れなくなってしまう。間違いなく、今後解決策を検討すべき事案である。

 

保育施設なども当てはまるが、このようにうやむをえず集団生活をしている人たちをどのように扱えばいいのか。感染拡大を徹底的に予防するためには、労を惜しまずにPPE(感染予防策)を実施し、診療に当たるしかない。しかし、今後本当にコロナ感染が増え、実際に診療することになれば、いずれ間違いなく限界が訪れる。

 

院内の会議では、様々なパターンが想定はされているのであろうが、結局は想像力には限界がある。現場に出てみないと気づけないことがたくさんある。