言語障害・・・失語、失行、失認
言語障害は、
1. 構音障害 (dysarthria, anarthria)
2. 失語症 (aphasia, dysphasia)
の2つに大きく分けられる。
1. 構音障害
患者自身は、言葉の理解は正常で、考えていることも言うことも正常だが、思うように発語ができない。書字や読書は問題ない。
その原因は、声帯の障害や発語に関わる筋肉(口輪筋、舌、声帯の筋肉など)にある。
構音器官・・・口唇(パ行の発音、口笛)舌(ラ行の発音)咽頭(母音の発音)喉頭(ガ行の発音)、歯(サ行の発音)
原因には以下のような例がある;
①脳血管障害
顔面麻痺、舌下神経麻痺→軽度な構音障害
両側大脳半球、脳幹部の血管障害→偽性球麻痺 pseudobulbar palsy (著明な構音障害)
→言語緩慢 (bradylalia, bradyarthria)
口唇、舌の筋強剛による。調子は単調となる(monotonous)
③小脳疾患
不明瞭発語(slurred speech) 途切れ途切れで言語緩慢
(いわゆる’酔っ払い’ 失調性構音障害)
→・爆発性発語( explosive speech )
・・・発音が突然大きくなる;「あおりうん!てん」
・断綴(ダンテツ)性言語(scanning speech )
・・・2,3音ずつ、途切れ途切れ;「よろし、くおね、がいし、ます」
④球麻痺 bulbar palsy
延髄神経核、脳神経(IX,X,XI)、構音筋(咽頭、喉頭、舌)の障害で生じる。
⑤重症筋無力症
しゃべっているうちに言語は次第に緩徐、不明瞭になる。休ませると元に戻る。
2.失語症
発語に関わる筋肉や末梢神経に異常がなく、意識障害や知能低下、聴力の障害がないにも関わらず、言語による表現や文字の理解ができない状態。
評価前に注意すること:
a. 右利き?左利き?
右利き→95%以上は左大脳半球に言語中枢がある
左利き→70〜80%は言語中枢は左大脳半球にあるが、右にあるひとも少なからずいる。
b.読み書きなどの教育程度
c.意識清明?
d.視力、聴力は正常?
e.発病前にすでに知的障害はなかった?
失語症の検査方法:
①自発言語
a. 話し方
姓名、住所、生年月日、患者の病状、家族、職業、家庭環境などについて話してもらい、発語量、努力、リズム、速さ、抑揚を調べる。
大きく、「非流暢性失語」(障害部位→Broca 野)「流暢性失語」(障害部位→Wernicke 野)に分ける。
b.語想起 Word Recall
意図した言葉を必要に応じて適切に用いること。
物の名前や絵・写真の内容を答えてもらう(呼称 naming )。
→物の名前を思い出せない・・・語健忘 word amnesia
c.保続 Perseveration
何を見せても「りんご」と答えてしまうような状態。
d.錯誤 Paraphasia
タバコを「タビコ」、時計を「タケイ」と1字だけ誤って答えてしまう→字性錯誤
タバコを「トケイ」、時計を「タバコ」と答えてしまう→語性錯誤
他に、
②復唱
③言語了解
④読字
⑤書字
がある。
1、2どちらも認めないにも関わらず全く喋らないのを「無言症」mutismという。